「2月4日のお客さん」
2月4日の午後に本を読んでいたところ、玄関のチャイムが鳴りました。
お客さんは熊でした。
熊はおみやげにサーモンのパイを持ってきてくれました。
そこで、ひとりといっぴきでお茶にすることにしました。
わたしはコーヒーをいれました。
熊はサーモンのパイを切り分けました。
すると、また玄関のチャイムが鳴りました。
お客さんは鬼でした。
鬼はおみやげに豆を持ってきてくれました。
鬼は昨日の節分でこれまでにいた家を追い出されて、這う這うの体で逃げてきたというのです。
わたしは、部屋の隅に昨日の豆まきの豆が落ちているのを見つけて、こっそりごみ箱に捨てました。
そして、わたしはコーヒーをもう一杯いれました。
熊はもう一切れ分パイを切り分けました。
鬼は疲れて何もしませんでした。
ひとりとにひきで仲良くおやつを食べました。
鬼だけは豆を食べませんでした。
おしまい。