息苦しかった青春時代を支えてくれた一冊
特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
「青春の一冊」について。
好きなことをして自由に生きていくこともできる。そう考えるきっかけを与えてくれたのが、高校2年生の時に出会った、銀色夏生『つれづれノート』シリーズでした。
『これもすべて同じ一日』や『こんなにも長い幸福の不在』などの詩集を読んで、エッセイも読んでみようと手にとったのが、『つれづれノート』の第一巻だったのです。
人間関係にまつわる田舎特有の現象でしょうが、小さい頃からの関係を引きずり続けていて、一度ついたイメージがいつまでもつきまとうのです(いわゆるスクールカースト的なものの変動がない状態というか)。自分が変化したくても変化を許してもらえないように感じてもやもやしていました。
また、進学校に通っていたので進路はほぼ大学進学一択。でも、本当にそれでいいのかという疑問がありました。
人間関係や進路など、こうした狭い世界の価値観の中で息苦しさを感じていた青春時代だったのです。
いつも「今とは違う自分」「ここではないどこか」を求めていて、「今・ここ」から脱出したいと思っていました。
そんな時に読んだのが、銀色夏生『つれづれノート』だったのです。
窮屈な世界に自由の風が吹いた、そんな感じでした。
苦労や忍耐を美徳のように考えていましたが、嫌な思いをわざわざすることもないし、益もないのに無理に耐え忍ぶこともないということがわかったのです。なんというか、「好きなことだけをして生きていってもいいんだ」「自由に過ごしていいんだ」と気づかされたとき、また、それが可能なんだと気づいたときに、視界が晴れるような思いがしたのです。
まだ現実をよく知らず、夢見がちだった高校2年のときにこの本に出会ったのもよかったのかもしれません。
もう少しあとだったら、斜に構えて本に書いてあることを素直に受け取れなかったように思います。今の歳で読んだのなら、きっと昔ほどには心に響かなかったでしょう。
実際はまあいろいろありますが、「好きなことをして生きること」「自由に生きること」、それはこの本を読んで以来のわたしの人生のテーマです。
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一時期影響を受けすぎて、詩をノートに書き綴っていた時代もありました。こっぱずかしい思い出のひとつです…。