この春も、進学や就職で上京する若者がたくさんいることでしょう。
わたしはあてのないまま24歳になる年の春に上京してきたのですが、その際に住んでいたのが、小田急線の某駅から徒歩15分ほどのコーポでした。
春になるたび、上京したときのことをふと思い出します。
そこで、そのときの気持ちに立ち返って初心に帰り、現在の自分を見直してみようと思いまして、1泊2日の「原点回帰の旅」に出てきました。
東京に出てきて初めて住んだそのコーポは町田にありまして、およそ電車で一時間。
今住んでいるとことから十二分に日帰りできる距離なのですが、あえてビジネスホテルに泊まることにしました。
まずは某駅に。駅前には、なんとスターバックスができていました。
住んでいたころにはなかったのに…。あのころにあれば…。
ひとまずホテルにチェックインして荷物を置いて、かつて住んでいたコーポの場所まで歩いていくことにしました。
けっこう道を覚えているもので、迷うことなく着きました。外観が少々きれいになっていましたが、ほとんど変わっていない。
上京したばかりのころの希望と不安を思い出して、懐かしい気持ちになりました。
不審者扱いされる前にコーポの前から去り、続いて図書館に。お金はないけれども時間はたっぷりあったので、ちょくちょく図書館に通っては本を借りていました。当時は焦りもあって楽しい日々を過ごしていたとは言い難いのですが、今思うとなかなかしあわせな時間を過ごしていたものだと思います。
そして、今度はバスに乗って町田駅前に。小田急百貨店でアルバイトをしていたので、町田駅前をよくぶらぶらしていました。
あのころと同じように駅前をぶらぶらとして、本屋に寄りました。
目的は雑誌コーナー。自分がイラストが担当した雑誌がありました!
十数年経って、かつて住んでいた街の本屋に自分のイラストが(ほんの1ページだけだけれども)載った雑誌があるというそのことに感動を覚えつつ、ホテルに戻ってきました。
数年も経つと、かつて過ごしていた街は変わっている部分もあり、変わっていない部分もあり。
なんとも懐かしい気持ちになりました。
上京をしようと決心し、東京にやってきたときの「絵や文を仕事にしたい」というあの強い思いを新たにした、原点回帰の旅でした。