紀ノ国屋の「よく調教されたレタス」とダンス・ダンス・ダンス
【でも僕は紀ノ国屋で買い物するのが好きだ。馬鹿気た話だけど、ここの店のレタスがいちばん長持ちするのだ。どうしてかはわからない。でもそうなのだ。閉店後にレタスを集めて特殊な訓練をしているのかもしれない。もしそうだとしても僕は全然驚かない。高度資本主義世界ではいろんなことが可能なのだ。(上・P237)
僕は朝のうちに紀ノ国屋に行って、またよく調教された野菜を買った。(上・P293)
(村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』講談社文庫)】
高校生の頃は「東京」にこれといった興味がなく地元の大学に進学したのですが(そこそこな田舎に暮らしているのにさらに田舎を求めて『田舎暮らしの本』とかを好んで読んでいました)、村上春樹の小説を読んでからというもの、「都市の生活(アーバンライフ!)」に憧れを抱くようになりました。
『ダンス・ダンス・ダンス』を読んだのは確か大学生になりたての頃で、妙にこの紀ノ国屋のレタスの描写が印象に残りました。それ以来「いつか紀ノ国屋でレタスを買いたいなあ」なんて思っていたのです。
上京してこの春で十年以上経ちますが、そういえば「いつか紀ノ国屋でレタスを買いたいなあ」という思いを果たしていなかったことに気づき、先日初めて青山にある紀ノ国屋に足を踏み入れました。
店内は高級感にあふれていました。
レタス一玉が498円。なかなかのお値段です。
家に帰って、レタスとハムとチーズのサンドウィッチを作って食べました。
とてもおいしかったです。
「よく調教されたレタス」とダンス・ダンス・ダンス!