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イラストレーター・山奈央のあれこれどこそこ

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午後の最後の芝生でダンス・ダンス・ダンス

本のこと

村上春樹の新刊『騎士団長殺し』がいよいよ明日2月24日に発売になります。

村上春樹作品に出会ったのは大学入学を控えた春休みのことで、『ねじまき鳥クロニクル』を読み出したらとまらなくなって、夜が明けて外が明るくなるまで一気に読んだのを覚えています。それからとにかく作品を手当たり次第に読んでいって、村上春樹作品については翻訳以外ほぼ読破しています。

 

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(エッセイなどの安西水丸さんの挿絵も好きです。)

 

今、リアルタイムで村上春樹作品を読めるのは幸せだなあと思います。

村上春樹のつむぐ物語は好き嫌いが分かれるところですが、どこがおもしろいかと聞かれると「話にぐいぐい引き込まれる」「現実と非現実の壁があいまいになる」「料理がおいしそう」とかいろいろあって語るのが難しいのですが、わたしは登場人物たちの「誠実さ」にひとつの魅力を感じています。

作品に登場する人物の語る仕事観には、けっこう影響を受けているような気がします。

以下に引用します。

***

「大抵のアルバイトは大型の電動芝刈機でざっと芝を刈ると、残りの部分はかなりいい加減にやってしまう。それなら時間も早く済むし、体も疲れない。僕のやり方はまったく逆だ。機械はいい加減に使って、手仕事に時間をかける。当然仕あがりは綺麗になる。ただしあがりは少ない。一件いくらという給料計算だからだ。庭のだいたいの面積で値段が決まる。それからずっとかがんで仕事をするものだから、腰がすごく痛くなる。これは実際にやった人じゃなくちゃわからない。慣れるまでは階段の上り下りにも不自由するくらいだ。

 僕は別に評判を良くするためにこんなに丁寧な仕事をしたわけではない。信じてもらえないかもしれないけれど、ただ単に芝生を刈るのが好きだったのだ。」

村上春樹中国行きのスロウ・ボート』所収「午後の最後の芝生」) 

中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)

中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)

 

 

「翌日はカメラマンが料理の写真を手早く写し、その間に僕が店主に話を聞く。手短に。全ては三日で片付く。もちろんもっと早くすませてしまう同業者もいる。でも彼らは何も調べない。適当に有名店を選んで回るだけだ。中には何も食べないで原稿を書く人間だっている。書こうと思えば書けるのだ、ちゃんと。率直に言って、この種の取材を僕みたいに丁寧にやる人間はそれほどいないだろうと思う。真面目にやれば本当に骨の折れる仕事だし、手を抜こうと思えば幾らでも抜ける仕事なのだ。そして真面目にやっても、手を抜いてやっても、記事としての仕上がりには殆ど差は出てこない。表面的には同じように見える。でもよく見るとほんの少し違う。

 僕は別に自慢したくてこういう説明をしているわけではない。

 僕はただ僕の仕事の概要のようなものを理解してほしいだけなのだ。」

村上春樹ダンス・ダンス・ダンス(上)』) 

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

 

 ***

丁寧に手を抜かずに誠実に仕事をすること。

わたしの仕事をするうえでの指針となっていることです。

とはいえ、いつもそうできているとかというとそうもいかず、なかなかその哲学を貫くのが難しいときもあるのですが…。やれやれ。

 

 

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